東アジア情勢 危うい日本の平和 中国の核軍拡も見過ごすな 都市照準の弾道弾を配備
北朝鮮が「先軍政治」を掲げ体制保証へ核・ミサイル開発に躍起となっている中、中国も軍拡路線を止めず核や海軍力を一大増強して西太平洋の覇権をうかがっており、東アジアの安全保障環境は大きく揺らいできた。こうした変化を受けてわが国の安全保障政策も一大転換が迫られている。今年末をメドに新たに作成される新・防衛大綱では日米同盟を再構築し、国際環境の変化に応じた然るべき自衛力の整備を目指さねばならない。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所は六月八日、二〇〇九年版年鑑を発表し、その中で中国の軍事費が昨年、前年比二百六十六億ドル増の八百四十九億ドルとなり世界全体の5・8% を占め、初めて世界2位となったと指摘、軍事的脅威を増す中国や核・ミサイル開発を進める北朝鮮への警戒感をあらわにした。 この年鑑で象徴されるように東アジアの安保環境の変化は世界が等しく認めているところだ。中国の今年の軍事費は世界二位だった昨 年の14・9%増で、二十一年連続二ケタ伸び率となっている。これには新兵器開発や宇宙技術開発、兵器購入費などは含まれておら ず、実質的な軍事費は「公表額の二〜三倍」(米国防総省)という多さだ。〇八年版中国国防白書(今年一月公表)は「強大な海軍の建設」と「宇宙、電磁空間の安全を守る能力」を打ち出し、宇宙・核・海洋の三位一体的な軍拡を宣言。海軍については対馬海峡から東シナ海、台湾海峡、南シナ海に至る「第一列島線」からサイパン、グアムを含む太平洋中央の「第二列島線」にまで行動範囲を広げようとしている。 これによって台湾とフィリピンを結ぶバシー海峡、さらに南シナ海を内海化し、最終的には西太平洋を手に入れる狙いで空母建造にも着手した。二〇一五年までに五万〜六万トン級の中型空母二隻の完成を目指すほか、六万トン級の原子力空母の建造も目指す。 しかも米軍との核戦争も想定し戦略ミサイル部隊の「第2砲兵」を中心に弾道ミサイルの能力向上に全力を挙げている。 「核先制不使用」(核兵器を軍事衝突でも先に使わない)方針を表明しているが、軍部はそれとは裏腹に米軍の通常兵器能力の向上によって非核兵器の第一撃で核戦力が破壊されることを警戒し、核 先制攻撃も辞さない構えでいる。
(以降は新聞を御覧ください)
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