秋葉原事件 「家庭崩壊」が誘因 道徳軽視の学校教育も 精神復興こそ不可欠だ
事件現場で犠牲者の冥福を祈る人々=東京・秋葉原
また無差別殺傷事件が起こった。東京・秋葉原で六月八日、派遣社員の加藤智大容疑者(25)が二トントラックで歩行者天国に突っ込み、殺傷力の高いタガーナイフで次々と刺し、七人を死亡させ十人に重軽傷を負わせた無差別殺傷事件は、日本社会の病理を改めて浮き彫りにした。その背景として派遣社員の「ワーキングプア」を問題視する見方があるが、それは皮相でしかない。事件の本質は「家族の絆」が絶たれた家庭崩壊にある。加えて道徳教育を形骸化させる学校、さらには共同体としてアイデンティティーを喪失させている社会にもある。日本の精神復興を図らなければ、この種の事件が後を絶たないだろう。
今年に入って無差別殺傷事件はこれで三件目だ。三月には茨城県土浦市のJR荒川沖駅で無職の男(24)が通行人を次々と切りつけ一人が死亡七人が負傷。一月には東京都品川区の戸越銀座商店街で男子高校生(16)が包丁で五人を襲い、二人が負傷した。九七年の神戸児童殺傷事件以降、東京・池袋の通行人殺傷事件(九九年)、山口県下関市のJR下関駅乗用車突入殺傷事件(同)、大阪府池田市の大教大付属池田小学校児童殺傷事件(〇一年)、仙台市のアーケード街トラック暴走殺傷事件(〇五年)など、無差別殺傷事件は後を絶たない。そして今回の秋葉原事件だ。
なぜ、こうした事件が続発するのか。事件発生四日前の六月四日付の産経新聞「正論」に犯罪心理学者の作田明氏(聖学院大学客員教授)が「凶悪犯罪多発の3つの背景」と題し、近年、米国で無差別殺人が増加したため、その心理的メカニズムの探求が進んできたとし、次のような興味深い指摘をしている。
(以降は新聞を御覧ください)
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