【思想新聞主張07年3月15日号】
東京都知事選/左翼の「首都乗っ取り」許すな
統一地方選挙がいよいよスタートを切る。07年4月8日には東京や神奈川、北海道など13十三知事選と茨城、東京、沖縄を除く四十四道府県議選、政令市の四市長選と15市議選、4月22日には254の市区町村長選と779の市区町村議選の投票が行なわれる。
今選挙は「平成の大合併」で自治体数が大幅に減ったことで全自治体のほぼ三割にとどまる。それでも今夏の参院選の前哨戦と位置づけられる重要な政治決戦に変わりない。
■文化共産勢力は無党派を隠れ蓑
ここで留意すべきは安倍政権になってから国民の政治意識に微妙な変化が出始めていることだ。とりわけ地方では昨年、福島、和歌山、宮崎の前知事が談合汚職で逮捕されるなど腐敗構造が浮き彫りになり、宮崎県知事選でタレント候補が当選したように政治不信が噴出した。
各種の世論調査を見ると、安倍政権の支持率の低下とともに政党支持率も下がり、無党派層が増加している。無党派旋風とは言わないまでも、風が吹き始めているのは確かだろう。
こういう状況下では投票行動が思わぬ方向に向かうことがある。とりわけ無党派が多い都市部がそうで、96年の統一地方選の再来が危惧される。同選挙では東京に青島幸男氏、大阪に横山ノック氏の無党派タレント知事が誕生し、いずれも確固たる政策ビジョンがなかったことからその後の都・府政は停滞を余儀なくされた。
しかも、その直後の参院選では共産党旋風が吹き荒れ、同党は八百万票台という未曾有の大量得票を果たした。
これは無党派タレント候補やラジカルな反対党が政治不信の受け皿になった典型的なケースとされている。この苦い経験を忘れてはなるまい。
特に懸念されるのが、首都・東京である。石原都知事の支持率は前回70%以上あったが、現在では50%台に低下しており、政治手法への批判もあることから左翼勢力は首都奪取の好機と捉えている。
石原都知事は公立学校での国旗掲揚・国歌斉唱の職務命令を徹底させ違反者には厳しい処分で臨み、また過激な性教育を是正するなどジェンダーフリー教育にも歯止めをかけた。さらに警視庁と連携して治安再生に成果を挙げ、自衛隊との防災訓練にも積極的に取り組んだ。
このような姿勢は左翼勢力にとってはことごとく「反動タカ派」路線と映り、石原都政を打倒する機会を探ってきた。そこで今回の都知事選を好機到来と位置づけているわけだ。
左翼勢力のうち、体制共産主義の共産党は足立区で「共産区政」の“実績”のある吉田万三氏(元区長)を擁立しているが、問題は無党派を隠れ蓑にしている文化共産主義勢力の動きだ。
この勢力は浅野史郎氏(前宮城県知事)を担ぎ出している。当初、浅野氏は「知事は卒業した」と述べていたが、2月25日に都内で開かれた「浅野さんのハートに火をつける会」に出席し出馬を決意したと伝えられる。この会こそ文化共産主義勢力の結集体で、同会の呼びかけ人や賛同人に彼らが大挙、名を連ねているのだ。
例えば、長良川河口堰闘争グループの学者、ジェンダーフリー論の元女性都議、「日の丸・君が代」不当解雇撤回を求める被解雇者の会、中国人民に謝罪する中国帰還者連絡会、草の実九条の会、土井たか子を支える会、全国フェミニスト議員連盟、戦争への道を許さない女たちの会などのメンバーがそうである。
こうした勢力は教育再生策の骨抜きを狙っているほか、「自治基本条例」を作らせ、これを足場に「住民団体」と称して行政に介入し、ジェンダーフリー(性差否定)の「男女共同参画条例」、子供の自己決定権の「子供権利条例」、人権擁護で保守言論を弾圧する「人権条例」などの制定を企てている。
■文化共産都政を作らせるな
また、在日米軍基地の移転に反対する住民投票や無防備地域宣言、「非戦平和条例」を制定させ、東京を反米・反戦の拠点都市にしようとしている。これらを「浅野文化共産主義都政」で実現しようと目論んでいるのだ。
東京都では過去、美濃部革新都政の「バラマキ福祉」や「橋の哲学」で財政危機や基盤整備の遅れを招いた。また「世界都市博」反対だけの青島無党派都政で「4年の空白」と呼ばれる停滞を余儀なくされた。
この教訓を踏まえ、文化共産主義都政の登場をけっして許してはならない。
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