統一地方選前段の焦点だった東京都知事選で石原慎太郎氏が文化共産主義勢力に推された浅野史郎氏を大差で破って3選を果たした。これで首都・東京が共産勢力の牙城となる危機からまぬがれた。次なる四年間で石原都政を深化させ、21世紀に相応しい東京づくりを押し進めていかねばならない。
■若者に希望とビジョン提示
石原氏が訴えた「東京再起動」を圧倒的多数の都民が支持した。その柱に据えていた2016年の五輪招致を我々は支持する。
その第一の理由は、現在の日本社会は「坂の上の雲」を喪失して活力がなくなっているからだ。石原氏が言う「若い世代に夢を持たせたい」との思いは多くの国民に共通することではないか。五輪競技は多岐にわたり、かつそれぞれの競技にドラマがある。五輪開催という目標に向かって若者たちに新たな「坂の上の雲」が与えられる。
それだけでなく、長野冬季五輪以来、「一校一国応援」運動が開催国の小学校などで取り組まれているように、五輪は子供たちに世界の国々に関心を持たせ、関わる絶好の場を提供する。おのずから日本の良さや文化を顧みる機会になり、国際文化教育にも寄与する。
第二の理由は、五輪招致をテコに新たな首都づくりのスタートを切れるからだ。
わが国の今日の社会基盤は1964四年の東京五輪を契機に作り上げられていったことを想起すべきだ。東名・名神、首都高などの高速道路や東海道新幹線などの交通網は東京五輪を目標に建設が進められ都市インフラが整備されていった。
むろん、それは戦後復興から高度経済成長の延長線上で取り組まれたことで、今日とは時代的背景が違う。だが、東京五輪から43年を経て、東京の都市インフラは老朽化し再整備が迫られている。これを次なる東京五輪で再起動を図ることができるはずである。
ロンドンがそうだ。2012年に五輪を開催するロンドンは、新たに「ロンドンプラン」を作成し、老朽化した都市の再開発を五輪と連動させ、「未来の世代に向けての永久不変の遺産」を残そうと意気込んでいる。そういうトータルな都市ビジョンが五輪招致には必要だ。
五輪開催というと、スポーツ施設の建設といった箱モノづくりを思い浮かべる人が多いだろうが、それはかつての東京やソウル、そして08年の北京五輪など途上国のケースだ。先進国それも2回目の五輪開催となると、単なる施設建設プランでは招致はとうてい叶わない。
IOC(国際オリンピック委員会)は、環境や治安など詳細な招致条件をあげており、有形無形の財産を次世代に継承する五輪プランでなければ候補地にも選定されない。このクリアを目指すだけでも新たな東京づくりが可能となるはずだ。
石原知事は五輪招致に当たって東京を「成熟した都市」と位置付け、「みどりと水の都市」の復活など環境最優先の五輪を目指し、「2016年の東京の都市像」を明示する都市戦略を描いている。これは21世紀の首都・東京のマスタープランになり、同時に世界や日本国内の大都市の未来像ともなるだろう。
従って、五輪招致は何も東京だけに限ったものではなく、全国的に波及効果をもたらす。だから国をあげて五輪招致を成功させてしかるべきなのだ。
■国に先駆け教育再生で左翼一掃
石原氏の「東京再起動」のキーワードは「安心・安全」だったが、未来の東京を考えると最大の懸念は子供たちの「安心・安全」に尽きるだろう。
これまで2期8年の石原都政は教育再生策で少なからず国に先駆けてきた。たとえば教育荒廃の元凶である左翼教組による国旗掲揚・国歌斉唱拒否行動に徹底して戦い、反日教師らの処分を断行した。
また美濃部革新都政の「平等教育」の負の遺産である都立高校の学力低下を是正し、その「復権」も図った。ジェンダーフリー教育にも歯止めをかけた。
今春から都立高で「日本の伝統・文化」教科が導入され、「奉仕活動」の必修化も始まるが、これも国の教育再生策を先取りするものとして評価される。これら教育再生策をさらに押し進めていかねばならない。
また防災・治安面での「安心・安全」にも全力で取り組んでいく必要がある。警察や消防、自衛隊、さらには在日米軍を加えた官民一体的な防災体制づくりを進め、治安については警察のみならず民間警備企業や警察OBなどを総動員した「地域、民間の総合力」による安心づくりが急がれる。
環境問題も含め内外ともに「世界一安心、安全な首都」づくりに3期目の石原都政は邁進しなければならない。これを阻む左翼勢力と我々も果敢に戦っていく決意である。 |