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  07-08-01 刈羽原発

「丸裸・原発」を露呈・柏崎刈羽原発

テロ・ゲリラにも無策だ/国は原発の安全に責任を持て

 

【ポイント】

 新潟県中越沖地震は「丸裸・原発」の実態をつまびらかにした。大地震に対する脆弱性だけでなく、ミサイル攻撃やテロ・ゲリラにも、まったく手が打てず重大な事態をもたらすのは必至である。これでは国民保護法ができても無防備そのものである。政府は大地震や火災、ミサイル攻撃、テロ・ゲリラへの対策に責任をもって当たり、原発の安全に万全を期すべきである。

 

【本文】

これほど大地震に弱ったのか、と多くの国民は震撼したはずである。確かに、今回の新潟県中越沖地震は「原発直下型」で、東京電力の柏崎刈羽原発では揺れの規定最大値の約2・5倍という、想定外の680ガルを記録した。

その結果、同原発1〜7号基のすべての使用済み核燃料の貯蔵プールかで水が溢れ出し、漏れた水に放射能が含まれていたほか、一部は海に流出。3号機の変圧器で火災が発生するなど、50件以上にのぼるトラブルが発生した。人的被害や影響はなかったものの、原発の脆弱性をさらけ出したと言える。

しかも、火災への対応は目を覆うほどお粗末だった。3号機の変圧器火災は地震発生直後に当直社員が発見して119番通報しようとしたが、電話がかからず、消防へのホットラインのある緊急時対策室に向かったものの、地震で扉が歪んでいて入室できなかった。通報までに12分も要する体たらくである。

同原発には約1000人の社員がおり、うち消火班員は20人。自衛消防隊が組織されているが、「海の日」の休日だったため社員は120人しかおらず、自衛消防隊は事実上、機能しなかった。社員ら4人が初期消火に当たろうとしたが、燃えている変圧器が油火災の可能性があったので初期消火をあきらめ、自衛消防隊も召集されなかった。

結局、化学消化剤を使った本格的な消火活動の開始は、火災発生から実に1時間以上も経ってからだったという。呆れた対応の鈍さである。

柏崎刈羽原発だけでなく、原発10社、国内55基の原発すべてで消防体制の不備なことが判明している(朝日新聞7月21日付)。いずれにおいても専従の消防隊が24時間常駐せず、夜間や休日には人員を呼び出さなければ出動できなかったり、地元消防署との連携も不十分で、まさに「丸裸・原発」を浮き彫りにしている。

 

■国民保護法も対応が不十分

これでは大地震だけでなく、ミサイル攻撃やテロ・ゲリに対応できるのか、きわめて不安である。原発へのテロ対策は9・11事件以降に取り組まれ、警察や海上保安庁が陸海両面から警備を強化、出入り業者のチェックも行なわれている。

また陸上自衛隊は武装工作員が上陸して原発を襲撃することを想定した訓練を行なっている。国民保護法の制定後は、福井県の関西電力・美原原発においてテロ攻撃で原発が攻撃されたとの想定で訓練も行なれた。

同訓練では外部電源の喪失や炉心冷却機能の喪失、さらに炉心損傷や被曝者の発生などを想定して取り組んでおり、これまでになかった安全強化訓練として、それなりの評価を受けてきた。

だが、肝心の原発自身が設備的にも体制的にも脆弱では話にならない。安倍政権は国民保護法に基づく国と地方自治体の共同訓練を島根、京都など17府県で今年10月下旬から来年2月にかけて実施するとしている。このうち原発関連施設のテロ攻撃への訓練は島根県で実施する。

だが、こうした国と地方自治体、原発との連係プレー以前に、これとは別に原発自体の安全態勢を見直さねば、訓練も水泡に帰すだろう。このままでは有事の際には機能しないと言っても過言ではない。

柏崎刈羽原発のように初期消火もできず、水漏れにも対応できなければ、いくら炉心冷却機能の喪失や炉心損傷、被曝者の発生などを想定して取り組んでも絵に描いた餅に終わってしまう。まず原発自身の安全能力を高めなければならない。

国は電力会社や自治体だけに任せず、責任をもって大地震やミサイル攻撃、テロ・ゲリラ対策を講じ、原発の守護に当たらねばならない。

 

首都大停電にも

備えが不可欠だ

柏崎刈羽原発の停止によって首都圏が大停電に見舞わられる危機に瀕しており、原発の守護が首都圏の国民生活に不可欠であることも想起しておくべきだ。

これまで首都圏では〇一年七月下旬に最高気温が三七度のときに六千四百五十万`ワットを記録し、これが電力需要のピークと位置づけられている。冷房需要が増加する夏場、それも猛暑になれば、電力需要はうなぎのぼりに増えるのだ。

これに対して東京電力の最大の発電能力は六千五百二十七万`ワットなので、フル稼働すればかろうじて対応できると見られた。ところが、ここにきて柏崎刈羽原発が全面停止に追いこまれ、全体のほぼ13%、約八百二十一万`ワットの供給が見込めなくなった。東電は他の電力六社から融通してもらい何とか乗り切りたいとしているが、猛暑になればきわめて危険と言わざるを得ない。

大停電になれば国民生活に甚大な影響をもたらし、復旧が長引けばパニックに襲われる可能性すらある。こうした危機管理にも国は万全の態勢で臨まねばならない。

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