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  07-7-15防衛白書

07年版防衛白書

中台軍事バランス 中国有利に

「台湾侵攻」現実味/アジア太平洋の危機も

 

【ポイント】

2007年版防衛白書が公表された。白書は中国の軍事力増強について詳述しているのが特徴で、とりわけ台湾との軍事バランスについて一歩踏み込み「中国側に有利な状態に変化しつつある」と初めて明記、さらに「軍事力近代化の目標が台湾問題への対応を越えるものではないか」と分析し、アジア太平洋地域で覇権を確立しようとする中国の野心に警戒感を示した。アジア太平洋地域の安全保障が問われている。

 

【本文】

07年版防衛白書は7月6日の閣議で了承されたが、その中で特筆されるのは中国の異常な軍拡に対して警戒感を強く打ち出したことだろう。

白書は中国の国防費について「過去19年間で名目上16倍の規模(5兆2085億円)」まで増額したが、「実際に軍事目的に支出する額の一部にすぎない」と指摘、中国が軍拡にひた走っており「各国がその動向に注目」した。

また中国はロシアから第4世代戦闘機や大型輸送機、キロ級潜水艦を導入しているほか、揚陸艦や補給艦を増強するなど海空軍の近代化が著しいと指摘。第4世代戦闘機の数では中国と台湾が並び、特に中国が対艦攻撃能力の高いロシア製SU30を多数配備(中国全土で121機)していることに注目。中台の軍事バランスについて「中国側に有利な状態に変化しつつある」と初めて言明した。

白書は、急速な軍事力近代化の当面の目標は台湾問題への対応が中心だが、「中国の急速な発展と軍事力の近代化が長年にわたって続いていることや軍事力の透明性の欠如を背景として、中国の軍事力近代化の目標が台湾問題への対応などを越えるものではないか」と疑念を表明している。

さらに白書は、中国海軍は「より遠方の海域で作戦が遂行する能力の構築を目指し、空母の保有にも強い関心を持っている。国土の防空能力の向上に加えて、より前方での航空戦闘能力、対地・対艦攻撃能力の構築を目指している」と指摘、昨年10月に中国潜水艦が沖縄近海で米海軍第7艦隊の空母「キティホーク」に接近した行動を「軍事的に注目すべき事象」としている。

また今年1月の対衛星兵器の実験でも説明が十分に行なわれず、「中国が人工衛星に対する攻撃も軍事作戦の一部として想定している可能性を示すもの」とし、海・空・宇宙での中国の軍拡に警鐘を鳴らしている。

 

■米情報システムの破壊を目指す

防衛白書が指摘する中国の軍拡について温家宝首相は今年3月の全人代の政府活動報告で「情報化に合わせて防衛戦闘能力をさらに高め、国防分野の科学技術研究や武器装備の整備の強化する」と、軍のIT(情報技術)化を標榜している。

06年版中国国防白書(昨年12月公表)は「21世紀半ばまでの情報化された軍建設の完成」を成し遂げ情報戦に勝利するとし「国防近代化三段階戦略」を掲げ、海・空・宇宙の三位一体の軍拡を目指すとしている。これが白書の指摘した中国軍拡の狙いである。

米軍の軍事行動は偵察衛星や通信衛星に依拠し、「ネットワーク・セントリック・ウォーフェア(NCW)」(ネットワーク中心戦争)を指向しているが、中国の軍拡はこの破壊を目指すものなのだ。

 

■米本土の攻撃も中国は狙う

中国の当面の目標は台湾の統一にあることは言うまでもない。すでに05年3月の全人代で台湾の独立を阻止するため武力行使を合法化する反国家分裂法を制定、武力侵攻の法的根拠を与えている。白書は中台軍事バランスが中国側に有利な状態に変化しつつあるとしたが、中国は2010年頃に決定的な軍事優位の確立を目指している。

その際、最大の障害になるのは米軍で、中台軍事バランスを優位づけるには単に台湾軍への攻撃だけでなく、対米軍攻撃能力を向上させねばならない。そこに中国軍拡の狙いがある。

米有力シンクタンク「ランド研究所」のロジャー・クリフ研究員(中国軍事専門)らの報告によると、中国は米軍への攻撃として@サイバー攻撃や電子的な攻撃、衛星への攻撃による情報・通信システムの破壊A米軍が利用する輸送・補給システムの攻撃B西太平洋地域を中心とした港湾や航空拠点の破壊−を初期段階で予想している(産経新聞〇七年四月八日付)。

中台軍事バランスの中国優位とは対米軍への優位も意味しており、中国の台湾問題への対応は必然的に台湾を越えてアジア太平洋の覇権の確立へとつながっていくと見ておかねばならないのだ。

米国防総省は五月二十五日、中国の軍事力に関する年次報告書を公表したが、それによると中国は台湾を照準にする短距離弾道ミサイルは年間百基程度のペースで増強されて約九百基に達し、太平洋地域の米軍基地や米本土を射程内に収める中長距離弾道ミサイルの開発を進め、米本土の一部に到達可能な地上発射型移動式弾道ミサイル東風31号(DF31)が近く実戦配備される。

さらに射程の長い改良型DF31Aも今年中に配備可能なレベルに達し、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の「JL(巨浪)2」が新型のジン(普)級原子力潜水艦に搭載される。

 

■米朝接近は対中戦略も

中国は軍事力で米軍を凌駕し、その動きを封じ込めれば軍事的脅しだけで台湾を統一できると踏んでいる。中国軍部には米軍を封じ込めるため北朝鮮が三十八度線で不穏な動きを見せ、場合によっては呼応して第二次朝鮮戦争が始まるシナリオももっているという。

中朝一体化が進めば、息を合わせての同時侵攻もあり得るわけで、その意味で中朝一体化は最悪のシナリオだろう。米国がにわかに米朝接近へと戦略転換したのは対中軍事バランスの不利を避けるためとの見方もあるほどだ。

実際、ワインバーガー元米国防長官は第二次朝鮮戦争が勃発すると、その混乱に乗じて中国が台湾の武力統一に乗り出すと見ている(『ネクスト・ウォー』二見書房)。米軍が台湾関係法で台湾有事に対応しようとしても、朝鮮有事では機能せず、中国にとって軍事的にまたとない機会となるからだとしている。

しかもワインバーカー氏によれば、台湾侵攻だけで終わらず、中国は領有権を主張しているわが国の尖閣諸島にも侵攻、同時にベトナムやフィリピンと領有権でもめている南沙諸島にも本格侵攻し、南シナ海の制海権を奪う。これは中国のネックとなっているエネルギー問題を解消するためで、東・南シナ海の海底資源の完全支配を目指していると指摘している。

防衛白書はここまで言わないが、我々はこうした危機も想定しておかねばならない。中国の軍拡や台湾有事、あるいは米朝接近は日本にとって決して対岸の火事ではないのである。

 

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